974億ドルのブランド価値。サムスンはApple、Google、Amazonと並ぶ、ブランド名だけで消費者の支払い意欲を生む企業の最高峰に位置する。問いかけたいのは:メモリチップの会社がなぜこのポジションに至ったのか、だ。

誰も評価しなかったデザインへのピボット

2015年ごろ、サムスンは何かを変え始めた。スペックシートでの競合——カメラの画素数、プロセッサ速度、ディスプレイ解像度——から、ブランド価値の源泉としてのデザインへの投資へ。段階的にではなく、体系的に。

「The Frame」がこのピボットの最も明確な体現だ。スタンバイ時にデジタルアートフレームに変身するテレビ——壁と面一に設置され、リビングスペースに「溶け込む」ことを設計している。基盤技術は高度だ(環境光に応じてディスプレイを調整するカスタムセンサー、何百もの作品を管理するソフトウェア)。しかしマーケティングの提案は技術ではなく美学だ:あなたのテレビはテレビのように見える必要はない。

これは家電企業の通常の発想ではない。家電企業は製品を最適化する。サムスンはThe Frameで部屋を最適化していた。

Bespokeへの展開

Bespoke家電ライン——冷蔵庫、洗濯機、掃除機——は同じ論理を歴史的に純粋に機能的だったカテゴリーに適用した。

Bespoke以前、冷蔵庫の選択は容量・エネルギー効率・価格で決まった。色はほぼ後付けだった——白、ステンレス、時に黒。Bespokeは本物のデザイン決定を導入した:どのパネル仕上げ、どの色の組み合わせ、キッチンの美学に合う扉の構成かを消費者が選ぶ。

モジュール設計が特に巧みだ。パネルは家電本体を交換せずに交換できる——キッチンの美学が進化しても、機能する製品を廃棄するコスト(環境的・経済的)なしに対応できる。サムスンの家電エコシステムにアクセサリー市場を創出する商業的な賢さでもある。

日本市場への示唆

日本では長らくソニー、パナソニック、シャープなどの国内ブランドが家電市場を支配してきた。サムスンはスマートフォンでは存在感を示したが、家電市場での浸透はより限定的だ。

しかしBespokeラインナップの展開やThe Frameの日本での展示が示すように、サムスンはデザイン志向の日本の消費者に対するアプローチを強化している。インテリアと調和する家電、個性を表現できる選択肢——これらは日本の消費者にも共鳴するコンセプトだ。

974億ドルが次の10年に示すもの

ブランド価値の指標は現在を測る。より興味深い問いはトレンドだ。サムスンのデザインポジショニングは強まっているか、横ばいか。

現在の証拠はデザインへのコミットが続いていることを示す。The FrameとBespokeが成功事例だが、それが一時的な製品ヒットか、持続的な戦略シフトかを示すのは時間が必要だ。