サムスンは冷蔵庫、テレビ、洗濯機、エアコン、オーブンを売っている。だがサムスンの戦略的目標は、これらの家電を個別に販売することにとどまらない——SmartThingsプラットフォームで統合した一つのコネクテッドエコシステムとして提供することだ。
2026年、この野心はAIの家庭用途統合という新たな次元を加えつつある。
SmartThingsを中心神経系として
サムスンのSmartThingsは世界で数千万台のデバイスを接続する。販売されるすべてのサムスン家電は、このエコシステムへの潜在的な入り口となる。
SmartThingsの強みは、Google Home・Apple HomeKit・Amazon Alexaといった競合プラットフォームと比べて、白物家電のポートフォリオの広さにある。冷蔵庫・洗濯機・エアコン・ロボット掃除機・テレビを統括するエコシステムは、スマートスピーカーを基点とするハブでは実現できない使用の深さを持つ。
日本市場でのサムスン
日本においてサムスンのスマートフォンはシェアが限定的だが、テレビや白物家電での存在感はある程度維持されている。SmartThingsの観点からは、日本では「サムスン家電を複数所有する家庭」の比率が欧米より低い可能性があり、エコシステムとしての恩恵を受けるハードルがやや高い。
一方でThe Frame TVのような製品は日本の住環境(スペースの制約、美意識)に対する訴求力が高く、この製品を入口にエコシステムへの取り込みを図る可能性はある。
AIによる具体的な使用事例
サムスンはカメラ内蔵冷蔵庫での食品管理・レシピ提案、The Frame TVの環境光への自動適応、ロボット掃除機の生活パターン学習といった機能を展開している。これらはデモではなく実際の製品として市場に出ている。
データプライバシーという問い
コネクテッドなエコシステムはデータを生む。家庭内のデータ——エネルギー消費、食習慣、睡眠リズム——は最も機微な情報の部類に入る。サムスンがこのデータをどのように扱い、何に活用するか。消費者の信頼はブランド価値の核心部分であり、ここでの誠実さが問われる。
