Apple TV+はNetflixの作品数を持たず、Disney+のIPを持たず、Amazon Primeの商業的利便性も持たない。それでもこのプラットフォームはエミー賞を受賞し続け、業界内外で話題を生み出している。

なぜか——その答えは「Apple TV+がAppleにとって何のために存在するか」を理解することにある。

「ストリーミング」が目的ではない

Netflixはストリーミングサービスとして存在する。Apple TV+はAppleのエコシステムの一部として存在する。この違いは根本的だ。

アップルにとってApple TV+が従来の意味で収益化できなくても、問題はない。このサービスはApple Oneのサブスクリプション解約率を下げ、iPhoneを買い換える理由を作り、Apple TVデバイスを使い続ける動機となる。つまり「エコシステムの接着剤」として機能している。

「少なく、しかし深く」という賭け

Apple TV+のライブラリは競合と比べて意図的に小さい。Netflixが年間数百本を生産するのに対し、Apple TV+は少数の高品質プロジェクトに集中投資する。

テッド・ラッソ、セバレンス、スロー・ホーセズ、ザ・モーニング・ショー——これらはいずれも映画的なクオリティと脚本の完成度を持つ。アップルは「量より質」が記憶に残ると信じている。

日本での反応

日本でもApple TV+のオリジナルコンテンツは着実に評価を高めている。特に「セバレンス」のような作品は、Netflixの大量コンテンツに飽きを感じるユーザー層から支持を集めている。Apple Oneへの加入によってApple TV+が「ついてくる」という形での契約も多く、独立したサービスとしてというより「Apple生活の一部」として消費される傾向が日本でも見られる。

残る問い

Apple TV+が今後も成長するためには、「見るものがなくなる」という不満に答える必要がある。Netflixには何百時間ものコンテンツがあるが、Apple TV+はヘビーユーザーにとってすぐに「観終わった」状態になる。

カタログ権の取得か、既存スタジオの買収か——これはアップル内部で繰り返し議論されている問いだが、まだ明確な答えは出ていない。