ゲーム業界のデジタル化は確かに進んでいる。欧米主要市場ではPS5のデジタル版売上がディスク版を上回る時期も来ている。にもかかわらず、ソニーはPS5 Proにディスクドライブを標準搭載することを選んだ。なぜか。

数字が示す市場の実態

グローバルなゲーム売上を見ると、デジタル配信は確かに成長している——特に欧米と韓国では。しかし日本市場は例外だ。

日本ではゲームソフトの物理販売比率が、欧米より高い水準を維持している。ファミ通の調査では、日本市場でのパッケージ版とダウンロード版の比率が依然として拮抗しており、シニア層・ライトゲーマー層では物理メディアへの選好が顕著だ。

これはソニーが本拠地の日本市場を無視できない理由だ。PSシリーズの日本での位置付けは特別だ——技術的フラッグシップであると同時に、ゲームを「コレクション」として捉える日本のゲーム文化と深く結びついている。

中古・貸し借り経済

物理メディアが完全に消えない最大の理由は、中古市場の存在だ。

日本のゲームリサイクル市場(ブックオフ、ゲオ、駿河屋など)は巨大だ。物理パッケージを購入することは「後で中古として売れる資産を買う」行為でもある。デジタル版にはこのリセールバリューがない。

消費者が物理版に500円余計に払うとしても、中古として3000円で売れる可能性があるなら、物理版の方が実質的に安い——この計算が日本の物理ゲーム市場を支えている。

ソニーのビジネスモデルと物理メディアの緊張

ソニーにとって、物理販売よりデジタル販売の方が収益性が高い。中古市場はソニーに一切の収益をもたらさない。プラットフォーマーとして、ソニーはデジタルへの移行を加速したいインセンティブを持っている。

しかしPS5 ProへのディスクドライブはあP戦略的計算だ:プレミアムゲーマー層の多くが日本・欧州の物理メディア文化圏にいる。PS5 Proのターゲットである「最高のゲーム体験を求めるコアゲーマー」は、物理コレクションへの愛着が強い層だ。

デジタルオンリーはコストを下げるが、コアゲーマーを疎外するリスクがある。ソニーはその賭けをまだしていない。

物理メディアが消えるとき

物理ゲームメディアが完全に消える条件は一つ:中古ゲーム経済の代替が生まれるときだ。

サブスクリプションサービス(PlayStation Plus)がその回答候補だが、コレクション感覚と所有感を再現できていない。デジタル所有権の「譲渡可能性」を実現するブロックチェーンベースのソリューションが議論されているが、実用的な普及には至っていない。

日本のゲーム文化が変わるまで、あるいは中古市場の代替が生まれるまで——物理メディアはゆっくりと縮小しながら、しぶとく生き残る。