ホテルと航空会社のロイヤルティ協定はもはや珍しくない——しかし詳細に入ると、単純なポイント交換ではなく、両社がどの顧客を取り合いたいかの戦略が見えてくる。マリオット・ボンヴォイとJALの協定はその典型だ。

協定の仕組み

マリオット・ボンヴォイとJAL(日本航空)が締結したのは双方向のポイント交換協定だ。Bonvoyポイント3ポイントをJAL 1マイルに、JAL 1マイルをBonvoy 3ポイントに交換できる(換算レートは概算)。

重要なのは「ホテルステイでマイルが貯まる」という方向性だけでなく、「フライトでホテルのポイントが貯まる」という逆方向も機能する点だ。後者は出張族が旅先のホテル選択を特定チェーンに縛る強力なインセンティブになる。

なぜJALか——マリオットの日本戦略

マリオットは日本市場で積極的な展開を続けている。東京、大阪、京都、さらに地方都市でのマリオット系列ホテル増加と並行して、JALとの提携は「日本人の旅行者と、日本を訪れる旅行者の両方を取り込む」という二重の目的がある。

JALはANAと並ぶ日本の2大フラッグキャリアで、特に日米路線とアジア路線でビジネスクラス利用者の比率が高い。マリオットが狙うのはまさにその層——頻繁に飛び、宿泊に一定の支出をいとわないビジネストラベラーだ。

競合軸で見ると:ANAはヒルトン(Hilton Honors)と提携関係を持っており、マリオット×JALはその対抗軸を形成する。

ロイヤルティプログラムの「実際の価値」

ポイント交換協定を評価する際の正直な観点として、換算レートの問題がある。Bonvoy 3pt = JAL 1マイルという換算は、マリオットのポイントが相対的に低価値であることを示している(一般的にマイルは1.5〜2円/マイル程度、BonvoyはせいぜいJALマイルの1/3の価値とみなされることが多い)。つまり「交換できる」ことはポジティブだが、それが「お得か」は滞在パターンによって大きく変わる。

とはいえ、コアユーザーにとってこの協定の価値は換算レートより「エコシステムへの囲い込み」にある。JALマイルが貯まるからマリオット系列を選ぶ——あるいはBonvoyポイントが貯まるからJALを選ぶ——という行動変容を生み出せれば、両社にとって協定の費用対効果は成立する。

より大きな傾向——ホテル×航空の提携拡大

2025〜2026年にかけて、ホテルと航空会社のロイヤルティ連携は加速している。ハイアット×アメリカン航空、IHG×エティハドなど、複数の協定が相次いで発表された。

この背景にあるのはロイヤルティプログラム同士の競争激化だ。単独では差別化が難しくなったプログラムが、パートナーシップでエコシステムを広げ、ユーザーの「乗り換えコスト」を高めようとしている。マリオット×JALもその文脈で読むのが適切だ。