旅行を計画するとき、かつての主な質問は「どこに行くか」と「どこに泊まるか」だった。2026年の旅行者が問い始めているのは「どう移動するか」だ——そしてこの問いの重みが、静かに増している。

移動が目的地になる

日本のモビリティ体験は、それ自体が観光コンテンツとして成立している。

新幹線で東京から京都まで2時間15分。その速さとサービス品質は、多くの訪日外国人にとって日本旅行のハイライトの一つだ。東海道新幹線の車窓から見える富士山は、JRのマーケティング素材として機能しているだけでなく、実際に乗客の記憶に残る体験だ。

移動手段が観光価値を持つとき、交通事業者はホスピタリティ業者として競争しなければならない。座席のデザイン、乗り換えのストレスのなさ、車内での食体験——これらは単なる機能ではなく、旅の品質を決定する変数だ。

EVとレンタカーの文化的変化

訪日外国人の地方観光を支えてきたのは、レンタカーだ。公共交通機関がカバーしない地域——山陰、北海道内陸、四国の一部——を訪れるためにレンタカーが必要だ。

ここにEVの波が来ている。トヨタの電動化加速、BYDの日本市場参入、そして充電インフラの拡大が、レンタカー市場の車両構成を変えつつある。

EVレンタカーの観光客体験は従来の内燃機関車と異なる:充電スポットが「立ち寄りポイント」として機能する。充電待ち時間が近隣の道の駅や観光スポットへの立ち寄りを促す。「充電しながら観光する」という動線が生まれる。

これは観光地の「駐車場」設計に新しい要件を加える——電源設備付きの滞在型スペースへの転換だ。

マイクロモビリティと都市観光

東京、大阪、京都での電動キックボードシェアリングの普及は、都市観光の粒度を変えている。

「地下鉄+徒歩」では届かない路地や住宅街を、観光客が自由に探索できる。これは観光客の分散という観点からも注目されている——浅草や清水寺のような過密観光地から、周辺の未発見エリアへの自然な誘導だ。

ただし、日本では電動キックボードの交通法規が整備途上で、利用可能エリアの制約が依然として大きい。外国人観光客の法規理解という課題も残る。

持続可能性という文脈

観光とモビリティの議論を外せないのが、環境負荷だ。

航空機の炭素排出への意識が高まる中、短・中距離の観光移動を鉄道に誘導するトレンドが欧州から広がっている。日本は新幹線網というインフラ上の優位を持っているが、この「低炭素観光」の文脈をブランドとして活かしているとは言いがたい。

「日本の旅は地球に優しい移動の旅でもある」というナラティブは、海外市場でも説得力を持てるポジションだ。それを日本政府・JR・観光業者が一体となって打ち出せるかどうかが、次の観光ブランド戦略の問いだ。