エルメスの業績発表には、ある特徴がある。悲観論者の予想を常に裏切る、という特徴だ。

2026年上半期、マクロ環境は決して良くない。中国の高級品需要は回復途上にあり、米国の富裕層もインフレの影響を受けている。しかしエルメスは独自のルールで動き続けている。

希少性を組織原理に

ほとんどの高級ブランドが希少性をマーケティングツールとして使う——限定版、演出されたウェイティングリスト。エルメスはこれを組織の根本原理にした。バーキンを製造する職人の育成には数年を要し、需要がどれほど高まっても生産ペースを上げることを拒否する。

結果として、需要は構造的に供給を上回る。二次市場でバーキンが定価を上回る価格で取引されるという異例の現象は、この設計の産物だ。2026年上半期も、レザーグッズ部門の成長率は業界の羨望の的であり続けている。

日本市場では、二次市場プラットフォーム(RecloやブランドiBUYなど)でのエルメス品の価格維持が特に顕著だ。日本人富裕層にとって、エルメスは「使える」資産でもある。

日本から見えるエルメスの強み

日本はエルメスにとって特別な市場だ。銀座、表参道の旗艦店は世界で最も売上が高い店舗群に含まれる。日本人顧客はブランドのアーカイブを深く理解し、シルクスカーフから手帳カバーまで、スモールレザーグッズの収集に熱心だ。

この顧客基盤は景気後退に対して相対的に安定している。長期的な貯蓄文化と品質への信頼が、エルメス購入をライフスタイル投資として位置づける。これはバブル崩壊後の日本が30年かけて作り上げた高級品消費の成熟形態だ。

率直な限界

とはいえ、上半期の好業績がすべてを保証するわけではない。

希少性戦略が機能するのは、憧れの需要が強い間だけだ。ジェネレーションZが「モノ」より「体験」を選ぶようになれば、希少性によるステータスの魅力は薄れる。日本の若い富裕層の消費動向は現時点ではその兆候を見せていないが、10年スパンのリスクとして無視できない。

もう一つの不確実性:二次市場規制の強化。欧州や米国でリセール課税が強化されれば、バーキンの「投資」としての合理性が揺らぐ。

今朝発表される数字がどう出るにせよ、エルメスのモデルは依然として高級品業界で最も防御力の高い戦略だ。それが無敵ではないという認識と共に。