WWDによれば、ナイキがアスレジャーを中心に子ども・大人向け両方で25%オフのバック・トゥ・スクールセールを開始した。

ナイキはブランドの価値を守るために長年、積極的な値引きを避けてきた企業だ。「セールを頻繁にすると消費者がセール待ちになる」という考え方がその背景にある。それだけに今回の25%オフという規模は、現在のナイキが置かれた状況を示すシグナルとして読む必要がある。

何が変わったのか

ナイキはここ数年、いくつかの逆風に直面している。パンデミック後の過剰生産による在庫増、製造コストへの関税プレッシャー、そしてアディダス(サンバとガゼルの好調)、ニューバランス、On Runningといった競合の台頭だ。

バック・トゥ・スクールセールは秋物コレクション投入前に在庫を動かしながら、ファミリー層のショッピング需要を取り込む複合的な目的を持つ。

「子ども」という長期投資

プロモーションに子ども向けサイズを含めていることは戦略的に重要だ。小学生のころにナイキを履いた子どもは、大人になってもナイキを選ぶ確率が高い——こうしたブランド親和性の形成は、長期的な顧客関係の礎となる。

25%オフの中に、子ども向けアイテムを含めることはコスト面でのプレッシャーにもなるが、将来の顧客基盤への投資とも解釈できる。

日本市場との温度差

日本ではナイキは高い認知度とブランド力を維持しており、大規模なセールに依存しない流通が比較的安定している。一方でオンラインセールの普及とともに、日本の消費者の価格比較行動も変化しつつある。今回の米国でのセールが日本の価格感覚に影響を与える可能性は、長期的に無視できない。