Appleは半導体大手Broadcomとの間で、総額300億ドル(約4.5兆円)を超える複数年契約を正式に締結した。この契約は、150億個以上のワイヤレス接続チップの設計・製造を対象とし、すべて米国内で生産される。
契約の対象
契約の中心となるのは、Wi-Fi、Bluetooth、その他のワイヤレスモジュールだ。これらのコンポーネントは、iPhone、Mac、Apple Watch、AirPodsなど、Apple製品ラインナップ全体に搭載されている。カリフォルニア州サンノゼに本社を置くBroadcomは、長年にわたりAppleの主要なワイヤレスチップサプライヤーの一つとして位置づけられてきた。
今回の契約は、この既存の関係を正式化し、大幅に拡大するものだ。Broadcomには複数年にわたる大量の受注が保証され、Appleには重要コンポーネントの安定的な国内調達が確保される。
半導体業界への影響
この合意は、Appleが米国内のサプライチェーン強化を進める広範な動きの一環として位置づけられる。クパチーノの巨人は近年、半導体をめぐる地政学的緊張や、製造拠点の国内回帰を求める政治的圧力を背景に、米国内の製造投資を相次いで発表してきた。
Broadcomにとっては、極めて大きな財務的見通しの確保を意味する。ウォール街のアナリストは発表を受け、Broadcom株の見通しを上方修正し、コミットメントの規模の大きさを強調した。
この契約が変えないもの
300億ドルという金額は注目に値するが、Broadcomのチップ製造自体がサードパーティのファウンドリに依存していることは指摘しておく必要がある。「米国製」という表現は、主に設計とパッケージングに適用されるものであり、必ずしもウェハー製造そのものを意味するわけではない。世界の半導体産業がアジアのファウンドリ——とりわけTSMC——に構造的に依存している現実は、一つの契約で変わるものではない。
