2023年、ケリングはビューティ事業を自社で運営する判断を下した。グッチやサン・ローランなどのフレグランスライセンスをコティなどのパートナーから段階的に引き取り、「ケリング・ボーテ」を設立した。3年が経った現在、問題は「できるかどうか」ではなく、「どのくらいの速度でLVMHに追いつけるか」だ。
なぜライセンス外注を終わらせたのか
かつてグッチのフレグランスはコティが管理していた。このモデルには合理性があった——ビューティの流通は複雑で、生産への投資も多大だ。しかし代償も大きかった。ケリングは利益率の高いカテゴリーで大きなマージンを外部に渡し、ブランドのナラティブコントロールと顧客データをパートナーに委ねていた。
LVMHがディオール・ボーテ、ゲラン、ジバンシィを自社運営で持ち続けてきた事実が、垂直統合型ビューティモデルの長期的な経済的優位性を実証していた。
3年間の基盤構築
ケリング・ボーテはチームを採用し、生産能力を構築し、ライセンス契約の満了に合わせて事業を順次引き取ってきた。LVMH フレグランスグループの元CEOだったロマン・スピッツァーがボッテガ・ヴェネタのトップとしてケリングに移籍したことは、同グループがビューティ専門の人材を幹部層に組み込み続けていることを示している。
埋めるべきギャップ
LVMHボーテが持つ規模と流通インフラは、ケリング・ボーテが短期間で複製できるものではない。ディオール・ボーテは世界数千の販売拠点を持ち、専門カウンタースタッフと、構築に数十年を要したブランド認知を備えている。
ケリング・ボーテが持つ強みは、既に強力なブランド力を持つハウス群だ。グッチ、サン・ローラン、ボッテガ・ヴェネタの desirability(欲求喚起力)は本物だ。課題はそのブランド力をビューティという独自チャネルで——パッケージング、処方、流通——損なわずに体現することだ。
必要なのは忍耐
ラグジュアリービューティは長期戦だ。エルメスが自社ビューティラインを育てるのに何年もかかった。LVMHのビューティ帝国は数十年の買収と内部投資で形成された。ケリングも同じ競走をしているが、より断片化した市場、より情報に精通した消費者、より複雑な流通チャネルという条件下で走っている。今の数字にはまだ表れていないが、2〜3年後には全く違う絵が見えているだろう。
