コアビジネスの責任者をナイキから採用する——プーマのこの決断は、シンプルだが意味深長なシグナルだ。

WWDおよびSGB Mediaによると、プーマはナイキ出身のマルシア・ドス・サントスをCore Business Unit担当バイスプレジデントに任命した。このポジションは、プーマのブランドとして最も根幹をなす部分——パフォーマンスフットウェア、スポーツ基幹製品、量販のドライバーとなるカテゴリー——を統括する。

採用より先に来た組織再編

この採用をより意味あるものにしているのは、そのタイミングと順序だ。WWDによれば、ドス・サントスの採用は、プーマが今年前半にスポーツスタイル事業とコアビジネスに専任チームを設置したことを受けてのものだという。

つまりプーマは、人を探す前に組織を設計した。スポーツスタイル(コラボレーション、カルチャー、注目度)とコアビジネス(基幹商品、パフォーマンス、安定した売上)を別々の組織単位として明確に分離し、その後それぞれのリーダーを採用するという手順を踏んでいる。

これは戦略的な順番だ。役割を定義してから人を選ぶ。逆ではない。

スポーツスタイルとコアの分離が意味すること

プーマのような総合スポーツブランドにとって、スポーツスタイルとコアビジネスを分けることは実践的な意味を持つ。

スポーツスタイルは話題性で動く。限定コラボレーション、ストリートカルチャーとの接点、メディア露出——これらは短期的な注目を生み出すが、安定した収益基盤にはなりにくい。コアビジネスは継続性で動く。シーズンを超えて売れるランニングシューズ、一般的な量販チャネルでの存在感、信頼できる品質と価格のバランス——これらが長期的な事業の土台だ。

両者を同一の組織ロジックで管理すると、どちらかが犠牲になりやすい。プーマの組織再編は、その問題を構造的に解決しようとする試みだ。

ナイキから学べるもの、翻訳が必要なもの

ナイキは世界最大のスポーツブランドとして、組織運営の洗練度においても業界標準を設定してきた。そこで経験を積んだドス・サントスが持ち込む視点は、プーマの組織にとって価値ある参照軸になりうる。

ただし、ナイキ規模で機能するプロセスやシステムが、そのままプーマで機能するとは限らない。規模が違えば、動くべきスピードも意思決定の構造も変わる。重要なのは、ドス・サントスがナイキの手法を直接インポートするのか、それとも自身の経験からプーマに適した形に再解釈するのか——その違いが今後の実行において問われるだろう。

採用の判断は正しい。結果は実行が決める。